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〒700-0822 岡山市北区表町1-4-64 上之町ビル3F Q1: 小学校高学年です。思春期に入りかけで時々反抗的な返事がありますが、やる気や自尊心が持てる声掛けの工夫を教えてください。 思春期に入ったお子さんへの対応には気を遣いますね。思春期には身体の成長に伴い、性への目覚めが起こり、新たな欲求不満を感じるようになります。また、今までは親や先生の言うことをよく聞いていた素直な「よい子」が、自我が発達してくるにしたがい、自分を抑えつけようとするもの(親・先生・社会など)に対して反抗・攻撃するようになりますし、親よりも仲間とともに行動し社会性を高めていくようになるので、心理的な親離れが進みます。さらに、学校で教わる知識や技術の量が急増し、その質もかなり高度で難しいものとなってくるので、多くの子どもたちが劣等感に悩まされるようになります。これらの要因から、お子さんの心は「風邪を引いたライオン」のように、不機嫌で危険なものとなりやすいので、親御さんも対応に苦心されているわけです。 さて、このような状態のお子さんに、親御さんがどのように声掛けをしていけば、「やる気」や「自尊心」を持てるようになるのでしょうか。 そもそも自尊心というものは、親御さんが「無条件にあなたを愛している」というメッセージを、お子さんが生まれたときから送り続けることで育つということです。障害があっても、かけっこが遅くても、勉強ができなくても、性格が暗くても・・・、人と比べることなく、何があっても「今、ここ」にいるお子さんが、少しでも元気が出るような方向で支えていくという親御さんの一貫した姿勢が、お子さんの心に自尊心を芽生えさせるのです。「ちゃんと~できない子は嫌いよ。」というような条件付きの愛による声掛けでは、劣等感や優越感を育てることはできても、自尊心は育たないのです。 一方、「やる気」については、「馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない」 という諺(ことわざ)がすべてを物語っています。勉強が嫌でたまらないお子さんに、「お父さんの後を継いで医者になって欲しい。」とか、「平均点も取れないなんて情けない。」というような親の勝手な思いを押し付けても、お子さんの「やる気」は出てきません。やる気のない子にやる気を教えることは誰にもできないのです。母親の病死をきっかけに、猛勉強をして医者になり多くの人を助けたという例でもわかるように、お子さんが様々な体験を重ねていくなかで、何らかのきっかけで心の底から「やる気」が湧き出てくるようになるまで、親御さんは待てばいいのです。でも、ただ待つだけではなく、日頃からお子さんが何に興味関心を示しているのかということを(親の思いは傍(かたわ)らに置いて)よく聴き、よく理解した(信じた)うえで、お子さんの思いが実現する方向で支援していくことが大切なのです。 つまり、親御さんは、日頃から「今、ここ」にいるお子さんの思いをよく聴き、よく理解したうえで、「あなたを応援しているわ。私にできることがあったら何でも遠慮なく言ってね。」と言ってあげれば、お子さんの自尊心もやる気も育っていくのです。 もし親御さんが、このような声掛けはできないと思われたなら、親御さんが抱えているご自身の思い(世間体や劣等感など)を見直してみることも必要かもしれませんね(もう少し具体的な話を聞いてみたいと思われましたら、「子育て・教育なんでも相談ネットワーク」の方へご連絡いただくようお願いいたします)。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) ( 林友の会機関紙「心のひろば」 「子育てQ&A」に掲載されたものの元原稿です) |
Q 2: 中学1年生の女の子です。スマホのLINEなどの利用について、親との約束をどう守らせたらいいでしょうか スマホの使用には、オンラインゲームや非常識な返信ルールによる時間的精神的束縛、課金や危険なサイトなどとのトラブル、プライバシーの流出などの問題が生じやすく、睡眠不足や依存症などの健康被害や学力低下、いじめなどに悩まされる例も少なくありません。それを心配する親が、スマホの使用制限などを子どもに約束させようとすればするほど、反抗期にある子どもは親の言うことが正しいと分っていても心を閉ざし、スマホなどの仮想現実に心の居場所を求めるため、ますます親との約束が守れなくなっていくのです。 そこで親は、「勉強がわかるようになりたい」という子どもの本音に焦点を当て、子どもが守ることができる最低限の勉強時間やスマホ利用のルールなどを、親子でよく話し合って決めることが大切です(子どもができないことを、親が押し付けてはいけません)。 また子どもがルールを守りやすくするための支援(有害サイトをブロックするフィルタリング機能の設定や静かな勉強時間の保障、ルールの達成状況を毎日親がチェックするなど)を、子どもの同意を得たうえで親のノルマとします。ルールが守られなかった場合に備えて、親子で同意したペナルティ(スマホを預かるなど)も決めておきます。 さらに親子で決めたすべてのルールやノルマ、ペナルティを、子どもは紙に箇条書きにしてよく目につくところに貼って、これを守ることを親子で約束するのです。毎日、親は自分のノルマを果たし、子どもが約束を守ったら褒め、守れなかったら淡々とペナルティを課し、上手くいかない場合は親子で話し合ってルールなどを見直していけばいいのです。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) ( 林友の会機関紙「心のひろば」 「子育てQ&A」に掲載されたものの元原稿です) |
Q3 発達障害について教えてください。 (1) 主な発達障害の特徴 次の具体的な特徴(過敏を含む)があるために、生活上、 重大な差支えがある場合は発達障害かもしれません。重大 な差支えがない場合は、障害ではなく性格の問題です。 ■ADHD(注意欠如多動性障害)… ①の特徴のみが www.kei-mental-clinic.com 明確な場合は、AD(注意欠如障害)が疑われます。 ① 不注意:人の話をよく聞かない。聞いてもすぐ忘れ る。忘れ物が多い。ミスが多い。怪我が多い。片付けられない。課題を順序立てて処理できない。… ② 多動性・衝動性:授業や式典の最中でも、私語や身体の動きが止まらない。注意されても直らない。過度のお喋り。質問中にだしぬけに答える。順番が待てない。計画を立てる前に行動してしまう。… ■ASD(自閉症スペクトラム障害)・・・ 次の特徴のうち、一つでも明らかな場合は該当します。 ① 社会性(対人関係)の障害:人付き合いが苦手で友だちができない。人の気持ちが読めない。自分 だけの理屈を持っている。人との接近や接触を嫌う。相手にルールや約束を厳格に守らせる。… ② コミュニケーションの障害:言葉の発達が遅い。会話が続かない。言葉通りに受け取る。正確に言い すぎて人を傷つける。比喩や冗談がわからない。必要以上に細かく回りくどく話す。… ③ 創造性の障害(同一性保持):こだわりが強く、意味のない反復行動(常同行動)を繰り返す。 ※ 以前は広汎性発達障害(PDD)と呼ばれていたもので、①~③のすべてが明らかな場合は自閉症、①・③が明らかで②があまり見られない場合はアスペルガー障害と診断されていました。 ■限局性学習障害(SLD)・・・ 全般的な知能の遅れ(知的障害:IQがおよそ70以下)は見られませんが、読む、書く、計算するといった学習機能に限って、一つでもほとんど効果が上がらないものがある場合は該当します。以前は学習障害(LD)と呼ばれていました。 (2) 発達障害は治るか? 発達障害は、親の育て方や環境が悪いから起こるというものではなく、脳の機能の一部が上手く働かないために起こると考えられています。しかし機能障害を起こしている脳内神経細胞の詳細な部位や神経伝達物質などに関する全容が解明されていないので、現在の医療では障害自体は治りません(脳細胞の手術などはできないから)が、症状の一部を和らげるための投薬治療などは広く行われています。 (3) 必要な支援は? まず親が子どもの障害を受け容れ、心のこもったコミュニケーションをとり続けるとともに、生後早い時期からの療育や、環境との適応を目指すSST(社会技能訓練)に参加させたり、学校や職場などに合理的配慮を要請したりすることが大切です。また障害者本人も、自らの障害を受容して個々の課題を少しずつ克服していき、自分らしく主体的に生きていくことが可能となるようなカウンセリングを受けたり、就労支援を受けたりするなど、自分に合った支援を受けることが必要です。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) |
Q4: 子どもの心がわからなくるときがあります。どうとらえたら良いでしょうか? 優等生が少年院に・・・ A子は学習面でも部活面でも優秀な成績を収めており、親も自慢の優等生でした。出張が多い父親の分まで頑張らねばと思った母親は、人一倍熱心にA子をいろいろな習い事や学習塾に通わせてきました。しかし、A子は中学2年の夏頃から親に反抗するようになり、化粧や喫煙・夜遊びなどを始め、高校生になると暴走族に入りシンナーで身も心もボロボロになって少年院に入れられたのです。母親は「何一つ不自由なく育てどこに出しても恥ずかしくない子だったのに、悪い友達ができてから急におかしくなった。A子がちゃんと立ち直るまでは許せない。」と言います。A子も「立ち直って親を喜ばすようなことはしたくないし、かといってこのまま自滅していくのも嫌だ。もう死ぬしかない。」と言うまでになっていました。 わかってくれたのは・・・ A子が中学2年の頃になると、「うちの親は、私が何かする前に親が決めたことを押しつけるんです。だから家には居場所がなくなっていたんです。」と振り返るようになります。中学2年生(個人差はあります)という時期は、今まで大好きだった親に反発し、外の世界へと飛び出していく傾向を見せ始める点で、思春期の中でも特に注意が必要な時期だといわれています。小さな失敗も許さず、親の敷いたレールの上を歩くことを押し付ける親に反発するA子の心を受け止め、わかってくれたのは暴走族だけだったのです。 言葉通りに受け取ると・・・ 子どもが親に反抗したり喫煙を始めたり、夜遊びをし始めた時に、親はどのように接すればいいのでしょうか。子どもに良くなってもらいたいと思うあまり、「親の言うことが聞けないなら出て行け。」などと言ってしまうと、子どもは言葉通りに受け取り、ますます親に反発し自暴自棄になってDVなども引き起こしやすいものです。子どもは自分でも悪いと思いながらも、親が自分を受け入れてくれるかどうか試していることが多いので、そのように言われると、「ウザい。どうせ私なんか要らないんだ。」ということになり、親と子の関係はますます悪化していくのです。 本音を聴こう 子どもの様子がおかしいと思ったら、子どもの本音を聴く努力を始めてみてはどうでしょうか。「何かあったの。」「どうしてほしいの。」と声をかけてみるのです。「うるさい。」「別に。」「ほっといて。」などと言われるかもしれません。「親に向かってなんていうことを言うの。」と腹を立てずに、腹をくくって反抗させてあげましょう。反抗期にある子どものレベルに合わせて売り言葉に買い言葉でやり取りするなら、親の貫録はなくなってしまいます。どんな子でも自分で解決していく力を持っています。それをそっと助けてあげるのが親の務めです。もし、子どもが頑張っても達成できない目標を親が押し付けていたなら、親子で話し合って目標を変えてみましょう。そのうち良い親子関係がつくられていくのではないでしょうか。 このような問題でお悩みの方は、一人で悩まずにカウンセリングを受けてみてはどうでしょうか。気持ちが楽になるかもしれません。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) |
Q5 人との距離のとり方がわからない 女子高生Kさんが、「人との距離のとり方がわからない。」と相談にきました。気になっている人は、友人であったり、苦手なクラスメートであったり・・・。相手に合わせるために涙ぐましい努力をしているのにもかかわらず、相手とうまくいかないで悩んでいたのです。 Kさんの悩みを考える前に、小学校3年のIちゃんの話を考えてみましょう。Iちゃんは、「ケイタイ」で送られてくるメールに3分以内に返事を出さなければいじめられるという恐れから、夜中の3時頃まで「ケイタイ」が気になって眠ることができなかったのです。お母さんが心配して「ケイタイ」を取り上げるべきかどうかを学校の先生に相談してわかった話です。Iちゃんの年(10歳)頃までは自我がそれほど発達していないので、強い子の仲間に入って仲間と同じような言動をすることによって、自分も強くなったように思い、そのような自分に大きな疑問を感じることもないようです。 しかし、思春期(小学校の高学年~高校生)に入ると、人は体や心の発達に伴って自我に目覚め始めます。容姿や様々な能力の面で他人と比べて劣等感に苛(さいな)まれたり、何を大切にして〔どのように〕生きるのかと自問自答したりして悩みます。今まで仲良くしていた友達と一緒にいても、「何か違う」とか「空しい」あるいは「ウザイ」などと感じ始めますが、そうかといって一人になるのはあまりにも寂しく辛いので、嫌われないためにできるだけ自分を抑えて、周(まわ)りに合わせることにすごく気を遣(つか)い始めます。 つまり、自我が発達していない小学生の頃には考えもしなかった本当の自分に気づき始めた(大人になりかけた)時に、「人との距離のとり方がわからない」と悩むようになってくるのです。 それでは、Kさんはこれからどのように生きていったらいいのでしょうか。友達といるときに生じた違和感や、自分の中に見え隠れてしている劣等感から目をそらさないようにすることです。そしてそれらを克服する努力をしていったり、自分の中の長所を伸ばす努力(たとえば資格試験の勉強や甲子園を目指して頑張るなど)を一生懸命続けていったりして、強い自分をつくることです。これは大変勇気がいる作業です。すぐに効果が出るものではありませんし、場合によっては今まで付き合っていた友達と別れてしまうことになるかもしれません。しかし、そのような作業を続けていくなかでこそ、同じ価値観を持つ真友をつくることもできるし、人との距離を上手にとって、本当に自分らしい生き方もできるようになるのです。 この話に興味・関心がある人は、気軽に相談室の先生に声をかけてみてください。悩みや考えを聴いてもらったり、同年代の子と話すのとは一味違う深い話を聞くことができたりする良(い)い時間を持てるのではないでしょうか。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) |
Q6 落ち込んだ時に立ち直る「ストレス解消法」は? 多くの人はカラオケに行くとか、ショッピングや「やけ食い・やけ酒」など、いわゆる「気晴らし行動」をとっていると思います。これらは一時的には良いのですが、副作用(お金がかかる、メタボになるなど)のほうが大きいのではないでしょうか。 軽い落ち込みならば、ジョギングなどの規則的な運動をすればいいのですが、重い場合は運動する気力も出てきません。また、信頼できる人がいる人は、その人に気持ちを聴いてもらうことができればいいのですが、その人と連絡がつかないときには困りますね。 私は、心の中に、どんなときにも頼りになるもう一人の自分を作って、その「頼りになる自分」に相談すること(自己カウンセリング)が最善の方法だと思っています。子ども・青年時代には、このぶれない自分を作るために、いろいろな勉強(生きるための力をつける勉強や哲学など)をしたり健康な体を作っていったりすることが大切なのではないでしょうか。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) |
Q7:保育園5歳児です。LGBTについて、どうしても「男の子」「女の子」はこうというのが子供に根付いています。大人がどのように話をすればいいでしょうか。 LGBTQ(性的少数者)とは?LGBTQとは、Lesbian(〈レズ〉ビアン、女性同性愛者),Gay(ゲイ、〈男性〉同性愛者),Bisexual(バイセクシャル、両性愛者),Transgender(トランスジェンダー、体の性と心の性が一致しない人), Questioning(クエッショニング、自分の性が決まっていない・分からない人)の頭文字を並べたもので、セクシャルマイノリティ(性的少数者,異性愛に当てはまらない人)と同じ意味で使われる場合もあります。2019年、博報堂DYグループLGBT総合研究所の統計によると、我が国の約1割の人がLGBT・性的少数者に該当するとしています。 最近ではLGBTQ間の分断を避ける意味で、SOGI(ソギ,SexualOrientation & GenderIdentity、性指向及び性自認)という語が用いられることもあります。 1 性の在り方(セクシャリティsexuality)先日出された先進7カ国(G7)の首脳声明では、ジェンダー問題に関し、LGBTQ(性的少数者)<参照コラム下>が暴力や差別を受けることのない社会の実現が表明されました。 LGBTQの問題を考える場合は、a)「体の性sex」だけではなく自分が認識している自分のb)「心の性(性自認)」や、恋愛などの対象となるc)「性指向」、さらには後天的に身につけていく性差d)「ジェンダーgender」も含めた幅広い概念である「性の在り方(セクシャリティ)」という観点も考慮することが必要です。 a)体の性・・・染色体や性器・性ホルモンなど、身体的・生理的状態から判断される性。例 男性・女性・中間性など b)心の性・・・体の性とは別に心で感じている性。例男性・女性・中間性・わからないなど c)性指向・・・ 恋愛や性欲の対象となる性。先天的に備わっているもので、気分などで変わる好み(嗜好)ではありません。例 ヘテロセクシャル(異性愛),ホモセクシャル(同性愛),バイセクシャル(両性愛),エイセクシャル(無性愛。性とは無関係)など d)社会的な性(ジェンダー、性役割・性表現)・・・服装や言動、あるいは社会的な役割などにみられる性差。 例 男らしさ。女らしさ。男は仕事、女は家事・育児。夫唱婦随。など 現実には異性愛だけでなく、a~dの4要素の組み合わせで、一人一人違った多様なセクシャリティが存在しています。例 a男性×b男性×c女性=ヘテロセクシャル,a男性×b男性×c男性=ゲイ,a男性×b男性×c両性=バイセクシャル,a男性×b女性×c女性=トランスジェンダー,a男性×b性がわからない=クエッショニング,a女性×b女性×c男性=・・・ このような多様性(ダイバーシティ)を理解しないで、男性と女性の異性愛のみに基づいた非科学的価値観でLGBTQを論じることは、「井の中の蛙」が知りもしない大海について論ずるようなものです。 相談員: 臨床心理士 福 田 求(“ののはな”教育相談) |
Q8:保育園児の子どもが片づけをしません。どのようにすれば片付けの習慣がつきますか。 幼児期の子どもは好奇心が旺盛で、興味関心のあることに熱中していきます。これを認めてやり上手く伸ばしてやれば、子どもは自主性や積極性を身に付けていきます。しかし、親が子どものしたいことを理解せずに、親の思い通りにしつけようとすると、子どもの芽生えかけた自我とぶつかり、何でも「イヤ。イヤ。」と抵抗されて困惑することになります。あまつさえ親が腹を立てて「さっき言ったばかりなのにどうしてできないの。」などと子どもを責め立てていると、子どもは自分を恥じたり、罪悪感を抱いたりして、のびのびと成長できないことになりかねません。 親御さんにとって大切なことは、お子さんがやりたがることは十分体験させてあげることですが、皆に迷惑がかからない行動の仕方(片付けなど)は身につけさせる必要があります。「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」<山本五十六> この金言の通り、①環境整備(片付ける物をジャンルで分け、片付け場所にラベルを貼る)。②片付ける時を、話し合って決めておく。③親御さんも楽しそうに片付けを手助けする(怒らない)。④終わったら「よくできたね。きれいになってうれしいね。」と褒める。これを繰り返して、自分でできるようになるまで、お子さんを信頼して待ってあげることが大切なのではないでしょうか。 片付けられない子どもに共通する3つの特徴1.遊びに夢中であるため中断してまで片付けようとは思わない子どもは、遊ぶことや楽しいことに夢中になります。親が話しかけても聞こえないくらい自分の世界に入り込み、遊びに集中していることもあるでしょう。子どもにとっては楽しいことがすべてですので、片付けを指示しても、なかなか遊びを中断しようとは思わないのです。 また、子どもは未来の予測や計画をうまく立てられません。「一度片付けて、ごはんを食べたあとでまた遊ぼう」「今日は片付けて、また明日遊ぼう」などと言っても、子どもにとっては「今」がすべてです。大人であれば計画的に行動できるのですが、小さな子どもにとって「明日」や「ごはんのあと」を想像するのは難しいため、遊びを中断して片付けられないケースもあります。 2.片付けという言葉の意味を理解していない 片付けという言葉は、大人なら簡単に理解できますが、子どもには意外と難しい言葉です。そのため「片付けなさい」と指示しても、子どもにとってはどう行動すべきなのかを具体的に理解できないことも多いでしょう。おもちゃ用の箱に入れる、おもちゃの棚に置くなど、片付けという言葉を使わず、子どもの目線で指示してあげることも大切です。 3.片付けを強要されるのが嫌 親に強要されるのが嫌で片付けない、という子どももいるでしょう。とくにイヤイヤ期の子どもであれば、親の指示を聞かないケースも多いものです。 また、子どもとしては片付けようと思っていたのに、親が先に指示してしまったために、片付ける気がなくなってしまうこともあるでしょう。忙しい親としては、早く次の行動に移りたいと考えることも多いのですが、子どものペースを見ながら指示することも大切です。 • ◎持ちものの数を減らす。 • ◎床にものを置かないようにする。 • ◎普段使わないものは出しっぱなしにしない。 • ◎洗濯して乾いた洋服などは、たたまずにハンガーにかけて収納する。 • ◎片付けるときは o ・きれいに片付けようとしない o ・いちどにすべてやろうとしない o ・できるだけものをしまうようにする • ◎ものを置く場所を決めて o ・その場所にそのものの名前や写真を貼る o ・その場所とそのものに同じ色やしるしをつけ、関連づける o ・出したら必ず戻す • ◎できない自分を責めない。 • ◆家族や周囲の人の工夫としては o ・当事者に無断で片付けをしない o ・指摘してガミガミいらいらするよりも、そっとしておく ●対処のポイント • ◎物の置き場所、片付けの方法やタイミングなどを決めて、自分なりの片付けルールを作ることで、考えるべきことが減り、片付けの負担を軽減することができます。 • ◎そもそもの対応として、持ち物を溜め込みすぎないようにすることも大切です。例えば、次のような工夫をしてみるといいでしょう。 o ・「○ヶ月以上使わなかったものは思い切って捨てる」というルールを決める o ・必要な情報はパソコンやスマートフォンでメモにまとめ、紙の書類は保管が必要なもの以外は処分するようにする • ◎自分一人で片付けをしようとせず、周囲の人の力を借りることも大切です。 o ・信頼できる友人などに、自分の代わりに物を捨てる・捨てないという判断や助言をしてもらう o ・学校の配布物は中身が見えるクリアファイルにまとめて入れるなど、ルールを決めて持ち帰り、家で親に確認・整理してもらう 1 なぜ子供が片づけられないのか?①必要性を感じていない片付けをしない子どもたちの中には、『部屋が散らかって汚くなっていても気にならない』という子どもがいます。片付けられない子どもたちは、部屋がおもちゃやゴミ袋が散乱しているような状態でも気にならず、片付けをする必要を感じていません。ですから親が『部屋を片付けて』とか『掃除をしなさい』と言っても、掃除や片付けをしなくても良いと考えている子どもたちがいるのです。または、ただ単に面倒くさくて掃除が大嫌いなので、片付けができないという子ども達もいます。面倒くさがりの子ども達にとって、『片付けをしなさい』と言うことは、子どもにとって口うるさく親が言う『厄介な作業』としか感じられないのです。 片付けをしなくてはいけないと感じながらも、どうやって片付ければ良いのか分からないで、結局散らかった部屋のままでいる子供たちもいます。片付け方が分からない子どもには、親が丁寧に片付け方を教えることで、うまく片付けられるようになります。 ②ストレスが原因となっているケース 子どものストレスが原因になっているケースも考えられます。 子どもの生活の中の、学校生活、家庭環境、親子関係、夫婦関係、友人関係などの中で大きなストレスを感じている場合、心に抱える問題が大きくて、その子どもの中では片付けをしている場合ではない、片付けをする気も起きないような心理状態になっているケースです。 ストレスによって片付けができない子どもの場合、やはり片付けよりもその子どものストレスの原因となっている問題を、解決していく必要があります。ストレスの中には、『スマートホンの使いすぎ』による脳のストレスで、やる気や気力を失われ、片付けができなくなっている場合もあります。子どもの性格やストレスの問題以外で、片付けられない場合もあります。それは病気や発達障害などによるものです。 ③遺伝的な問題 片付けが苦手であるという性格そのものが、遺伝することは考えられることではありますが、それほど大きな影響はないと言われています。それよりも、日々の暮らしの中で部屋が散らかっていることや、親が片付けが苦手だったり嫌いだったりしたという、環境や好みの影響受けることの方が大きいようです。 遺伝的な障害の中に『片付けられない症候群』と言われるADHDやADDという発達障害がありますが、この発達障害を持っている場合、その子どもは片付けがとても苦手です。ADHDである場合は、脳の機能的な障害に原因があり、『不注意』『多動性』『衝動性』と言う特徴を伴っています。ADHDの特徴である、うっかりミスがとても多かったり、少しもじっとしていられない性格だったり、衝動性を抑えられないなどコントロールがしにくい性質を感じられる場合は、病院へ行って正しく診断をしてもらう必要があります。発達障害と診断されたら、その障害に合ったサポートや薬の力で、片付けられないことも含め、生活の不自由さを和らげることができます。 片付けられない子どもの中には『ため込み症候群』といわれる強迫性貯蔵症、ホーディングという障害を持っている場合もあります。『物を集めすぎて困る』とか『捨てたくなくてしょうがない』という特徴があります。この強迫性貯蔵症も、遺伝的要素からくる障害です ④もしかして障害や病気? ADHD、強迫性貯蔵症のほか、片付けられないという特徴を持つ場合がある障害は、自閉症、アスペルガー症候群もあります。 そのほか、片付けられない特徴を持つ病気もあります。 ・うつ病 ・セルフネグレクト ・統合失調症 ・認知症 これらの病気は、ストレスが原因で引き起こされる病気です。 2 片づけられない子供の特徴これまで書いてきた内容をまとめると、片付けられない子どもの特徴は、大きく分けて3つあります。 一つ目は『片付けが嫌い』であるという子どもたちです。片付けが嫌いな理由は子どもによってそれぞれ違うと思いますが、性格的なものや、嫌な印象を伴うからなどという理由です。 強迫性貯蔵症の子ども場合も、『捨てたくない』という気持ちが強いので、この『片付けが嫌い』に分類してよいかもしれません。 二つ目は『片付けが苦手である』という子どもたちです。苦手である理由は、障害があるからかもしれませんし、方法が分からないから上手くできないのかもしれません。ADHDやADDの子どもの場合も、『片付けたいのに片付けられない』という気持である子どもが多く、この『片付けが苦手である』に分類されます。 三つ目は『片付けに興味がない』子どもたちです。 片付けに興味がない理由は、障害、病気、ストレスによるもの、それから性格によるものです。 3 片づけられない子供が片づけられる子供に激変する方法片付けられない子どもが片付けられるようになるには、親の助けが必要です。言葉を教えるように、親は子どもに片付けも教えていかなくてはなりません。親が子どもに片付けの方法を教えていくには、その子どもの片付けが出来ない理由によって、アプローチを工夫する必要があります。特に、障害や病気が原因で片付けができない子どもには、障害や病気に対応した方法で子どもに接することになります。障害や病気の場合の、親が子どもを助ける方法については、各研究機関が研究しているので、専門の本、医者、カウンセラーの助けを借りることになります。 ①片づけを一緒にやってみる 片付け方が分からないという子どもには、一緒に片付けをすることで、片付けのコツを教えて あげましょう。必要なものと必要がなくて捨てるものを区別し、処分する作業や、片付けをしやすい収納方法を教えてあげましょう。ひとりで片付けをするのは苦痛だけれども、親と一緒にならやる気が出てくる場合もあります。一緒に片付けを始めることで、片付けに対する重要性に気が付く機会となります。 部屋での探し物が多かった子どもなら、一緒に分類したり、整理したりする作業を通して、部屋を片付けることは生活を快適にし、物の置き場所を把握することが、便利で心地よいことであるということが分かってくると思います。 ② 片づけられる環境を一緒に作ってあげる 一緒に片付けをしていく中で、片付けられない理由や行動の癖が分ってくると思います。つい散らかしてしまう癖を解消するための対策を一緒に工夫することで、散らかさないためには『具体的にこんな工夫をしたい』という、対策の意図も理解してくれます。 例えば、ゴミ箱の置き場所ひとつとっても、ゴミを入れやすい場所へ移動するだけで、ゴミ箱へゴミを入れる行動がかなり増えると思います。脱いだ服を床へ置きっぱなしにされないように、サッとひっかけられるフックを壁に取り付けたり、かけやすいハンガーラックを用意したりすればよいかもしれません。帽子やかばんなども、簡単にかけられるようポールハンガーやハンガーラックがあると、簡単にひっかけるだけで片付けられる仕組みを作ることができます。 洗うべき洗濯物を部屋に置いてしまう場合は、洗濯かごを部屋に置いておくのもよいかもしれませんね。 このように、片付けの環境を整えることは、片付ける方法が分からない子どもの助けとなり、物の分類や仕分けといった片付けの基本的なことを身につけることにつながります。 ③ 怒らないでほめる 部屋が汚いと怒るのに、部屋をきれいにしても褒めないでいるというお父さんお母さんが多いかもしれません。怒られて仕方なくする「片付け」と、片付けたら褒められる片付けですと、片付けをした時の気分がずいぶん違ってきます。 また、片付けそのものに対する『好き、嫌い』さえも左右される可能性があります。 『片付けを始めた時』『片付けをしている時』『片付けが終わった時』など、こまめにほめて、子どもの片付けへのやる気を引き出していきましょう。 逆に、もし片付けが上手くいかなくても、怒ったり嫌味を言ったりしないことが重要です。片付けているのに怒られれば、一気にやる気を失ってしまいますし、また片付けを始めれば怒られるかもしれないという恐れが生じ、その後もやる気を失い続けてしまいます。ほめるという親の行動は、片付けが嫌いな子どものやる気を引き出していきます。 ④ 役割分担を与える 家族の一員として、子どもに『お手伝い』として役割分担を与えましょう。お手伝いのご褒美としては、『褒めること』が最もよいのですが、なかなかお手伝いをしてくれない子どもには、お手伝いの分担をこなしたら、例えば何か好きなことをしてよいというご褒美などを与えると、お手伝いも続けられるようになります。 家を片付けたり掃除をしたりするようなことを役割分担として与えれば、部屋の片付け自体にも興味を向けてくれるようになります。役割分担を与えることは、片付けにまったく興味のない子どもに、片付けへの興味をもってもらうというきっかけにつながります。 まとめ片付けられない子どもには、それぞれ違った理由や原因があるかもしれません。親が子どもを見守り、必要な時に必要な助けをタイミングよく差し出し、子どもに寄り添っていくことで、片付けられない子どもも少しずつ片付けられるようになります。片付けは教えていかなければならないものであると意識して、ひとつひとつ優しく教えてあげてくださいね。 おもちゃは片付けるものでなく遊ぶもの 子供にとっておもちゃは「遊ぶもの」です。おもちゃで楽しく遊んだあと、おもちゃが「片付けるもの」に変わる意識がないため、遊んだら終わり。しまわずにその場を離れてしまうようです。 遊びを終わりにしたくない 子供は飽きやすい一面もありますが、好きなものには夢中になりやすい一面も持ち合わせています。時間を忘れ、声かけにも気づかず集中。片付けたら遊ぶのを終わりにしなければいけないという気持ちから、出しっぱなしの状態にしておく傾向にあるようです。 片付けて、と言われてやる気が失せる ご飯、お風呂、お出かけする時間に合わせて「片付けて!」と声かけをする方がほとんどだと思いますが、片付けようと思っていた矢先に「片付けて!」と言われるとやる気がうせてしまう子もいるようです。片付けなくてはいけないことを理解している子供へのひと言、タイミングや様子を見ながら声かけをするとよさそうですね。 1~2歳の子に片付けさせるコツ ① おもちゃ箱に目印をつける 子供が片付けやすいような環境づくりがとても大切です。カテゴリー別におもちゃ箱をつくり、イラストや写真など目印をつけると、幼い子供でもわかりやすく出したおもちゃを元に戻しやすくなるでしょう。幼稚園や保育園でもこの方法を取り入れているところは多いようです。どのおもちゃ箱に何をしまうかは、子供と一緒に相談しながら決めてもよいでしょう。自分で決めた場所なら片付けやすいかもしれませんし、意識も高まります。 ②おもちゃ箱にフタをしない 2歳児くらいまでは、ワンアクションで片付けが終わるのを目安にするとよいそうです。おもちゃ箱にフタをするのは見た目すっきりしてよいのですが、子供にとってはおもちゃを入れるためにフタを開ける、おもちゃを入れたらフタをするという複数の作業が面倒と感じてしまうようです。おもちゃ箱に入れるだけで片付けが終わるように、フタなしの収納方法にすることをおすすめします。 ③見せる収納 大好きなおもちゃや絵本を片付けると、寂しくなると感じたり飾っておきたいという気持ちを尊重した収納方法もおすすめです。おもちゃで遊んだらお気に入りのおもちゃはおもちゃ箱にしまわずに棚の上に飾る、ハマっている絵本やかわいいという絵本は本棚に並べずに表紙を見せて収納してみてはいかがでしょうか。 片付けのやる気アップポイント①片付けの時間を決めて声かけする 楽しく遊んでいる最中にいきなり「片付けて!」と言われると気分がよいものではありませんよね。「時計の針がここまで来たら、片付けようね」と片付け始める時間を前もって伝えておくと、”そろそろ片付けなくちゃ”と心構えができるかもしれません。 時間になってもなかなか片付けを始めない場合の対応で注意したいのが、時間変更やママやパパが片付けてしまうこと。決めた時間はなるべく守り、ずらさないようにしたいですね。”すぐに片付けなくてもいいんだ”とか”この前は時間になっても片付けてよかったのに”と矛盾を感じる子もいるでしょう。また子供が遊んでいるなか、パパやママだけが片付けるのも避けたいですね。”自分が遊んだおもちゃは自分で片付ける”という意識づけのためにも、ここは心を鬼にする瞬間かもしれません。 ②遊び感覚で片付けさせる 片付ける習慣がなかなかつきにくいなと感じたら、遊びやゲーム感覚を取り入れてみましょう。「100数え終わるまでにどちらがおもちゃを多く片付けられるか競争しようか」と勝負してみたり、「このおもちゃのおうちはどこかなぁ?」「このおもちゃはどこにしまうんだっけ?」と子供に教えてもらうかのように声かけをすると、得意になって「ぼく(わたし)知ってるよ!」と率先して片付ける姿を見られるかもしれません。片付けまでを楽しくできるように子供の心理を探りながら工夫してみてください。 ③片付け表をつくる マスが並んだ表をつくって、片付けられたらシールを貼ったりスタンプを押していくと片付けが楽しくなるという方法を取り入れているママもいます。家にあるカレンダーを利用してもよいでしょう。子供の好きなキャラクターやお気に入りのもので表やカレンダーを埋めていくと、達成感や喜びも味わえるでしょう。 ② 片付けできたら褒めてあげる 片付けができたら、毎回必ず褒めてあげましょう。いくつになっても褒めてもらえるのはとても嬉しいことですし、褒められたことが糧となり次につながります。 「遊んだおもちゃを片付けられてえらいね」 「片付けるの上手だね」 「お部屋がきれいだと気持ちいいね」 「掃除機をかけやすくてママのお掃除が速く終わるから公園に行けるね」 などいろいろな視点で褒めてあげると、片付けることのすごさ、部屋をきれいにしておくことの過ごしやすさ、時間を有効的に使えるなどよいことがたくさんある片付けを自然と学んでくれるかもしれません。 片付けの躾、ここに注意!① 「片付けないなら捨てる」という言葉は要注意 遊んだおもちゃを出しっぱなしにされ、いつも散らかっている部屋を見るとイライラしてつい「片付けられないなら捨てちゃうよ」と言ってしまうこと あると思います。実際には、思い入れのあるおもちゃを簡単に捨てられませんし、結局は脅し文句で終わってしまいますよね。そうすると、子供も慣れてくるので効果はなくなってしまいます。 代案として、使用禁止令というのを出してみてはいかがでしょうか。片付けられなかったら、次回はそのおもちゃを使ってはいけないというルールです。使用禁止令の解除方法は子供の片付けレベルや意思に合わせてルール化していくとよいでしょう。片付けできるようになるまで、預かり制度を設けてみるのもよいと思います。 ②イライラせず、根気よく 片付ける習慣が身につくまでは、想像以上の時間がかかるかもしれません。「毎回言っているのに……」とイライラもするでしょう。片付けができたとしても、雑だったり間違ったところへ片付けていたりと目に付くことも多いと思います。大人が片付けてしまえば、ストレスもなく短時間で終わらせられますが、グッと我慢して根気よく、長い目で子供と一緒に取り組んでいってください。小さいうちにしつけて片付けが身につけば、成長してから整理整頓が上手になってくれるでしょう。ママの家事も軽減され、楽になりますよ。 まとめ片付けのしつけは0歳から成長に合わせて始めていくとよさそうですね。声のかけ方や片付けやすい環境、やさしくてわかりやすいルールなど子供と一緒に考え習慣づくようにできたらよいと思います。遊ぶスタイルがそれぞれあるように、片付けスタイルもさまざま。子供の様子を見ながら親子でストレスのない暮らしができますように、片付け習慣を身につけていきましょう。 保育士も実践している「片付け上手」な子に育てるテクニック
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Q9.保育園年長児です。ごはんを食べるのがとてもゆっくりです。遊び食べなどはせず、しっかり嚙み締めて食べるのですが、会食などで取り残されてしまいます。 年長児は、保育園生活にも慣れ、積極的に周りの子どもと遊び、様々なことに興味関心をもって「なぜ?」を連発するなど、概して言動は活発だと言われています。したがって、お子さんが食べる時以外は活発であるなら、よく噛んで食べていることを褒めてやり、「一人だけ食べるのが遅くて困ったことはないの?」などと問いかけながら、ざっくばらんに話し合っていくのもよいでしょう。 しかし食べる時に無表情であるとか、何かストレスがあるように感じているようでしたら、次のことに気をつけて話をよく聞いてやり、適切に対応する必要があるでしょう。 ① 歯や喉、お腹や頭が痛くはないか。 ② いじめっ子がいたり友達がいなかったりなど、何かに 怖がっているとか不安を抱えてはいないか。 ③ 食べることに支障をきたす感覚過敏やこだわり(食べ物の量や大きさ・堅さ。偏食。食器などの材質や色。周囲の雰囲気など)はないか・・・。 ただし、生来おとなしい性格であったり、過度の干渉を受けて消極的だったりする場合は、親御さんが気になったことはよく聴いてやり、お子さんの長所も短所も丸ごと受け止めて、無条件に可愛がってあげれば、親子の信頼関係が増しお互いに自信をもって相手と接するようになるので、今までの不安は解消していくのではないでしょうか。臨床心理士:福田 求(“ののはな”教育相談) 幼児後期|3〜5歳 …幼児後期では幼稚園や保育園での同世代の子供との関わりが増え、外の世界に興味を持つ時期です。 課題【心理社会的危機:自発性・積極性vs罪悪感】 • 知りたいという興味の芽生え(「なぜ〇〇なの?」といったなぜなぜ期) • ままごとやごっこ遊びに夢中になる 達成するとどうなる 幼児後期では、遊びや関心があるものについての「自発性・積極性」が形成されます。 また、さまざまな事柄の「なぜ=目的」を知ることで目的意識という力を得られ、自分の興味があることへの追及ができるようになるでしょう。 達成しないとどうなる 子どもの自発性や自主性のある積極的な活動に対して親が嫌な態度を取ったり、厳しくしつけたりしすぎると、子どもは「罪悪感」を覚えます。過度なしつけは子どもの罪悪感が強くなり、自発的な活動を妨げることに繋がってしまうのです。 今月は「食べるのが遅い子ども」に焦点を当てた内容です。 給食時間などで食べるのが遅い子どもに対して「早く食べてね!」や「●分までに食べてね!」と声をかけるだけでは解決しないことがあります。たとえば保育園でも年長さんになると、小学校の給食に向けて時間内に食べることを意識させる場合も多いと思います。上記のような声かけ以外でも「時計の長い針●分までに食事を終えるルールにする」場合や「タイマーをセットする」などが行われている園もあるようです。 しかし、子どものタイプによっては時間を意識すればするほど「食べなければいけない」という気持ちがプレッシャーになり、食べられなくなる場合もあるのも知っておきたいところです。 子どもが食べることが遅いという場合には「食べるのが遅い理由」を考えることが大切ですが、そこには思わぬ理由があったり、子ども自身もそれをうまく言葉で表現できないことがあります。 食べられないことには理由があることを「給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?【2022年3月】」の解説記事でもお伝えしましたが、食べることが遅い場合でも下記のような理由があるのだと考えることが大切です。 そして今回は「お腹が空いていないから食べるのが遅い」などの一般的に気づきやすいものではなく、大人として盲点になりやすい意外な理由を多くピックアップしています。 また、例えば「乳歯が抜けていて食べにくい」、「お箸や食器がうまく使えない」などの理由の場合は、その子の成長とともに改善されていく部分が大きく、大人としても食べるのが遅い理由として理解しやすいと思います。 一方で、口腔機能の未獲得、感覚的な問題(過敏や鈍麻)、その他のストレスプレッシャーによって食べることが遅くなっている子に対しては、周りの大人に知識がないと、その理由自体を理解してもらうのが難しく、それゆえに対応を間違えてしまい、食べることが苦痛になってしまう可能性が高いです。 子どもは(小さければ小さいほど)、食べるのが遅いことを言葉では表現できなかったり、自分自身でも「どうして遅いのか」に無自覚であることがありますので、周りの大人の支援や対応がとても大切になります。 そして、特に注意したいケースがありますので紹介しておきます。それは、大人からみたらほんの少しの量なのに、それをちびちびとゆっくり食べている子がいる場合です。(あくまで例ですが、イメージとしては「もやし一本すらゆっくり時間をかけてしか食べられない」等)このように、ほんの少しの量ですらパクッと食べられないのは、食べることに対して強い苦痛を感じている可能性があります。 それに気づいたら「その子がどうしたら安心して食事の時間を過ごせるか」を考えて支援することが大切ですが「先生でも分かる会食恐怖症」の記事で解説した会食恐怖症のような状態になっている可能性もありますので、注意をしましょう。 関連することとしてもう1つお伝えしておきたいのは、苦手なものはいくら時間をかけても基本的には食べられないということです。苦手なものを時間をかけて頑張って口に入れさせたとしても、その食べ物とネガティヴなイメージが強固になり、さらにその食べ物が嫌いになってしまいますので、そういった指導などはやらないようにしましょう。 こちらに関しては先月の「給食指導「好き嫌いしないで食べよう!」は難しい?」も参考になりますので、ぜひご一読ください。 今回は、「早く食べてね」と言っても理由があり食べられない子がいる 理由によっては大人も気づきにくいので要注意 ちびちび食べている子は安心した環境づくりを 苦手なものは時間をかけても更に苦手になるだけ というのが今回の要点になります。 山口 健太 『月刊給食指導研修資料|きゅうけん』 編集長 株式会社日本教育資料 代表取締役 一般社団法人日本会食恐怖症克服支援協会 代表理事 著書に『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)ほか数冊 「人前で食べられない」会食恐怖症とは?〜原因・症状・治し方〜 会食恐怖症とは 会食恐怖症とは、社交不安障害(SAD)の一種です。社交不安障害とは、人前で恥ずかしい思いをすることを極度に恐れ、恥をかくシチュエーションに強い不安や苦しみを感じ、避けてしまう病気です。 DSM-5(アメリカ精神医学会の精神疾患の診断と分類の手引き)では「社交不安障害」、WHO(世界保健機関)のICD-10では「社会恐怖」と呼ばれています。 会食恐怖症は、社交不安障害の数ある症状のひとつ。人前で食事をすること(会食行為)に対して、耐えられないほどの不安や恐怖を感じる疾患です。出された料理を食べきれなかったり、吐いてしまったりして人前で恥ずかしい思いをするのを極度に恐れます。恥をかくシチュエーションに強い不安や苦しみを感じ、避けてしまう病気です。食事を通した人とのコミュニケーションが困難になり、対人関係に苦しみます。人前での食事に不安を感じるので、1人の時には症状は現れません。 人前での食事を避ければいいと思う方もいるかもしれませんが、私たちにとって食事は重要なコミュニケーションツールのひとつです。一生誰とも食事をしない、というのは現実的に難しいでしょう。 患者の多くは会食におびえ、他人との食事を避けるあまりに交友関係に亀裂が入ることもあります。 会食恐怖症の主な原因・パターン 1.プレッシャー「残さず食べなければいけない」 会食恐怖症の原因として「完食指導」が挙げられます。完食指導とは、学校給食や部活動で「食事は残さず食べなければならない」と強要される教育のことです。小学生の頃、「給食がなかなか食べきれずにお昼休みも教室に残された」という経験がある人も少なくないでしょう。学校だけではなく、家庭でも残さず食べるように教育されるケースが多い傾向です。おなかがいっぱいだったり、食欲がなかったりするのに、無理して食べることを押しつけられてトラウマになってしまった人は、会食恐怖症につながる可能性があります。 2.食事しているところを見られたくない 自分が食事をする姿を見られたくない気持ちから、会食恐怖症を発症する場合があります。食べ物をほおばっている顔や、咀嚼している口元を見られたくないなど、人により見られたくないシーンはさまざまです。また、必死に食べていると思われたくないと感じたり、食べ方が下品だと思われないか不安だったりします。食事をする行為自体が恥ずかしくなり、人前で食事ができなくなります。 3.吐くことへの恐怖心 過去に嘔吐へのトラウマを抱え、食事をして「人前で吐いてしまわないか」と不安な人もいるでしょう。吐くこと自体への不安が強いと、嘔吐の原因となる食事そのものを避けるケースもあります。 また自分が吐くだけではなく、相手が吐くことを恐れている場合も。会食ではなく嘔吐への恐怖が根底にあるので、嘔吐恐怖症という病気も併発している可能性があります。 自分自身が嘔吐をしてつらかった経験や、他の人が嘔吐をして苦しそうな姿を見ると「嘔吐はつらいもの」と感じます。嘔吐への必要以上なネガティブイメージがきっかけになり、会食恐怖症を発症します。 会食恐怖症の症状 … 吐き気 動悸 めまい 手の震え 嚥下(えんげ)障害(うまく食べられない・飲みこめない) 会食恐怖症の原因は、他人との食事のプレッシャーや不安、恐怖なので、1人の時には普通に食事ができるのが特徴です。 身体的な変化以外にも、精神的な焦りが生じます。例えば「早く食べきらないと迷惑をかけるかもしれない」「完食しないと失礼な人だと思われるかもしれない」「食べ方が汚いと思われるかもしれない」などです。ネガティブな精神状態が、体の不調をさらに強める悪循環になりがちです。 会食自体がストレスの原因になるので、誰かと一緒に食事をする可能性を避けようとします。そのため、誘いや予定を断ったり、レストランに行っても自分だけ料理を注文しなかったりなどの行為が現れます。 症状は「飲み物なら飲める」「親しい友人なら少しは食べられる」など人によってさまざまで、すべての患者が人前でまったく食事ができないわけではありません。 参考:中國新聞デジタル「人前で食事、喉通らない 知っていますか「会食恐怖症」」 会食恐怖症の治し方・治療法 会食恐怖症の治療には薬物療法とカウンセリングが行われます。薬で不安感を和らげつつ、カウンセリングで不安になる状況に対する対処法を身につけていく方法がとられることが多いでしょう。認知行動療法は「食事を残したら、相手に不快な思いをさせ嫌われてしまうだろう」といった誤った認知を修正するのに役立ちます。行動実験を交えながら、食事を残しても意外と相手は気にしないものだと思えるようにしていきます。 また家族が会食恐怖症の場合は、患者本人に食事や完食を強要してはいけません。食べられないことを責めるのではなく、昔と比べてどれだけ食べられるようになったかに着目し、食事へのネガティブなイメージを植え付けないようにしてください。 栄養バランスはもちろん大切ですが、食べられない事情や心理を理解し、心に寄り添うコミュニケーションが必要です。 参考:PRTIMES「精神科医も知らないマイナーな病気⁉「会食恐怖症」の克服法を人気カウンセラーが公開 発症のきっかけの62.5%は「完食指導」に【新刊案内】」 参考:中國新聞デジタル「人前で食事、喉通らない 知っていますか「会食恐怖症」」 参考:うつと不安のカウンセリング「会食恐怖症を克服するために知っておきたい4つのステップ」 子どもの遊び食べ… その理由や対処法、親がやりがちなNG行動 遊び食べとは 大切な成長過程 遊び食べは離乳食を始めてしばらく経った頃の子どもが食事中に見せる、以下のような行動を指します。 ・食べ物に手を入れてぐちゃぐちゃにする ・食べ物をわざと落とす ・食器やカトラリーを投げる ・飲み物に食べ物を入れる ・スプーンやフォークで食器を叩く ・食事中にウロウロする ・椅子やテーブルの上に立つ 遊び食べは大人から見ると、大変行儀が悪い行動です。自分の子どもが遊び食べを始めたら、ふざけて遊んでいるようにしか思えず、やめさせようと必死になったり、育て方が悪いのかと落ち込んだりするでしょう。 しかしこの時期の子どもは、自分の意思で手足を動かせるようになったばかりで、とても好奇心が旺盛です。目の前にある物はなんでも自分で触って、確かめようとします。たとえ食事中でも、食べ物や食器に興味を覚えれば、つかんだり投げたりして「どうなるのか」を試してしまうのです。遊び食べは、子どもにとっては大切な成長過程なのです。 遊び食べはいつからいつまで? 遊び食べが始まる時期や、続く期間には個人差があります。始まる目安は、離乳食が1日3回になる生後8~10カ月頃です。食べさせてもらうだけだった赤ちゃんが、自分の手でご飯を食べられるようになる時期と、ほぼ同じと考えてよいでしょう。 遊び食べは2~3歳まで続き、4歳を過ぎるとほとんど見られなくなります。 食への興味や好奇心 赤ちゃんにとって目に映るものは全て新しく、興味の対象となります。食べ物も例外ではありません。例えば目の前に、お皿にのったおにぎりが出てきたら、まずは手で触って「固さ」や「熱さ」を確かめたいと考えます。口に入れる前にぎゅっと握ったり、テーブルに落としてみたりするかもしれません。おにぎりは力を込めて握ったらつぶれることも、手にご飯粒がくっついてしまうことも、遊び食べを通して覚えていきます。コップの中の液体がこぼれる様子や、床にはねてぴちゃぴちゃと音が出る様子も、赤ちゃんにとって不思議な体験です。初めて見る食べ物に好奇心をかきたてられた結果、食べるより先にいろいろな実験をしてしまうのです。 お腹が空いていない お腹が空いていないときも、子どもはよく遊び食べをします。食事の時間になってもお腹が空かないのは、運動不足やおやつの食べ過ぎ、昼寝のし過ぎなどが原因です。また子どもは胃が小さいので、大人が思うよりも少量でお腹がいっぱいになってしまうことがあります。食べ残しが多い子や食事の途中で遊び食べを始める子は、そもそも量が多過ぎるのかもしれません。 大人の気を引くため 子どもが遊び食べを始めると、驚いたり慌てたりと、周囲の大人が過剰に反応することがあります。大人の反応が面白いと感じたり、自分に注目が集まると気づいたりして、わざと遊び食べをする子どももいます。 遊び食べの対処法 お掃除がラクな環境を作ろう 遊び食べで一番困るのが食後の掃除です。こぼす、なすりつける、投げるなどの行為によって壁や床、カーテンが汚れ、洋服もシミだらけになります。たたでさえ忙しい育児中に、毎回掃除や洗濯に時間を取られるのは大きな負担です。遊び食べの期間は家中が汚れるものと覚悟を決め、掃除をラクにする方法を考えましょう。「汚れても大丈夫」と思えるだけで、パパやママのストレスを大きく減らせます。子どもには大きめのエプロンを着せ、洋服の汚れを防ぎます。テーブルの下にはレジャーシートや新聞紙を敷き、拭き掃除の手間を減らしましょう。子どもの椅子はできるだけ壁やカーテンから離し、食器類が飛んでも当たらないようにしておきます。壁にもビニールシートを貼っておくと、ソースなどが飛び散ってもすぐに拭き取れます。使い捨ての水拭きシートを常備しておけば、バケツや雑巾を用意する手間も省けるでしょう。遊び食べが収まるまで、水拭き可能なロボット掃除機をレンタルするのもおすすめです。 食事の時間を決めよう 遊び食べが激しく、食べ物を全部こぼしてしまうようなときは、栄養不足が心配になります。しかしたくさん食べてほしくて、いつまでも食事を続けさせたり、早めに食事を始めたりするのは逆効果です。しっかりと食べさせたいなら、食事の時間をきちんと決めましょう。毎日決まった時間に食べさせ、1回20分程度で終わるようにします。まだ食事が残っていても、遊び食べを始めたら「ごちそうさま」のタイミングです。途中でお腹が空いたといわれても、おやつをあげ過ぎてはいけません。しっかりとお腹が空けば、次のご飯が楽しみになり遊び食べも収まっていきます。 間食を見直してみよう 間食のタイミングや内容を間違えると、夕食の時間になってもお腹が空かず食事に集中できません。夕食をあまり食べない、すぐに遊び食べするなどの場合は、間食を見直してみましょう。市販のお菓子は糖分や塩分が多く、保存料などの添加物も心配です。小さな子どものおやつには、フルーツや乳製品、さつまいもなど、ビタミン・ミネラルを補給できるものが適しています。おにぎりやバナナもよいですが、お腹がいっぱいになってしまうため、与えた日は夕食を少なめにするなどして調整しましょう。 やってはいけないNG行動 理由を言わずにただ叱る 遊び食べは、一般的な食事のマナーとはかけ離れた行為です。親として「しつけ」をしなければという思いや、掃除の大変さが重なり、つい叱ってしまうこともあるでしょう。しかし子どもには悪気がないため、ただ叱られるだけでは、何がいけなかったのかが分かりません。食事のたびにパパやママが怒ったり、イライラしたりすると、食べることが嫌いになる可能性もあります。叱るときは、その行為をしてはいけない理由をきちんと教えてあげましょう。「食べ物で遊んじゃダメ」ではなく「〇〇ちゃんが床に落としちゃったから、これはもう食べられないよ」と言えば、「食べ物は床に落としてはいけないものだから、パパは怒っているのだ」と分かります。「ジュースをこぼすと拭き掃除が大変で、ママ/パパも疲れるよ」のように、「こぼすとママ/パパが困る」ことを伝えるのも有効です。 子どもの気を散らせる おもちゃやテレビなど、余計なものが視界に入ると、気が散って食事に集中できなくなります。またママやパパが席を立って、どこかに行ってしまうのもよくありません。食事の前におもちゃを片付けると同時に、親もテレビやスマホを見るのをやめ、食べ終わるまで一緒にいてあげましょう。パパやママと一緒に楽しく過ごす経験を重ねることで、食べることが好きになり遊び食べもしなくなります。 遊び食べはいつかは終わる 子どもが遊び食べをするのは、成長過程において自然なことです。いたずらしているわけでもなければ、親のしつけが悪いせいでもありません。期間は長くても2年ほどで、大きくなれば自然にやらなくなります。親にとっては忍耐の日々ですが、いつかは終わるものと考え、子どもの成長を大らかな気持ちで見守りましょう。文・構成/HugKum編集部 食べるのが遅い 叱るのはNG? 子どもの遅食の原因&対策案をママパパにリサーチ! 子どもの食事にかける時間の目安はどのくらい? もちろん個人差はありますが、集中力の持続時間は乳児・幼児で長くても10分、少しずつ伸びてはいくものの、小学校中学年くらいになっても30分程度といわれています。集中力が途切れてしまうとだらだら食いがはじまり、食べることや席に着いていることが苦痛になってくる子も。1回1回の食事にかける時間を、集中力の持続時間内におさめるのが理想的です。 ママパパにアンケート! 子どもの食べるのが遅い原因は? テレビ まず挙がった原因が「テレビ」でした。幼い子どもにとって、テレビから流れる音や映像はとても刺激的。食事中にテレビがついていると夢中になって観てしまい、お箸を持つ手が止まってしまうという子が多いようです。「テレビを見たがる」(30代・兵庫県・子ども1人)「テレビを見て、箸が止まってしまっているため。」 (40代・埼玉県・子ども2人) おしゃべりしてしまう&遊んでしまう 食事は家族との団欒を楽しむ場でもあります。ですが、なかにはおしゃべりに夢中になってしまって、ごはんが全然進まない子もいるようです。まだ幼い兄弟・姉妹がいるご家庭では、子どもたちがお互いにごはんそっちのけでおしゃべりに興じてしまい、ついには遊びはじめてしまうなんてパターンも。「お喋りが多かったり、集中していないことが多い。」(30代・千葉県・子ども1人) 「姉妹で遊びながらや、お話しながら食べるから。」(30代・東京都・子ども3人) 食事に集中できていない テレビやおしゃべりの他にも、食事中の子どもの気を散らしてしまうものはさまざまにあります。たとえば、近くに子どもの目を引くものが置いてあったり、椅子やテーブルの高さが適当じゃなかったりするだけで、集中力が散漫に……。「他に気になる事や物があったり、集中できない環境なのかも…?テレビは必ず消してますが、食べながらも頭の中で色々考えたり想像したりしてるのかも?好きなキャラクターのこととか、遊びのこととか…」(30代・北海道・子ども3人) 好き嫌いがある 「好き嫌い」も、子どもの食べるのが遅くなってしまう大きな理由のひとつ。苦手な食材が入っていると、それだけでなかなか食が進まなくなる子が多く、一口食べてもらうにも苦労しているママパパは多数。「野菜が苦手」(40代・大阪府・子ども1人)「自分で食べようとしない。」(30代・石川県・子ども1人) 食に興味がない なかには、好き嫌い以前に、お子さんの食への興味が薄いために、食べるのが遅くなっていると感じてるママパパも。そもそもの食が細いことや、間食の量やタイミングによってお腹が空いていないことなども、食に興味を持たない原因として考えられます。「あまり、食に興味がない。」(30代・宮城県・子ども2人)「食への関心が薄い」(30代・大阪府・子ども2人) 叱るのはNG! 食事を楽しめるようママパパたちが工夫していること 食べるときはテレビを消す 大人はテレビを観ながらでも食事ができますが、まだ幼い子どもは一度に複数のことに注意を向けられません。お子さんがテレビに観入ってしまって食事に集中してくれない場合は、やはりテレビを消すことが一番の対策。観たい番組がある場合は録画をしてあげたり、食事時間をずらしたりと工夫しましょう。「テレビを見ない。食べる時は消す。」(30代・東京都・子ども4人)「食事のときはテレビを消す」(30代・千葉県・子ども1人) 子ども同士の席を離す 兄弟・姉妹でおしゃべりや遊びに夢中になってしまい食事が進まない場合は、お互いの席を離してあげるのが先輩ママパパたちのおすすめ。大人が間に入ってあげることで、おしゃべりもほどほどに食事をもっと楽しめるはず。 「テレビを消す、兄弟の席を離す。」(30代・北海道・子ども2人) 食事の気が散るものを遠ざけておく 子どもの集中力はちょっとしたことで途切れてしまいます。おもちゃなど、食事と関係ないものはできるだけ遠ざけて、視界に入らないようにすることも大切です。「 オモチャを置かない。 あまり話しかけない。」(30代・兵庫県・子ども1人)「気が散るものを視界に入れない おもちゃなど目に入る場所におかない。」(30代・埼玉県・子ども2人) 子どもが食べやすい献立を工夫する まずはとにかく食べる楽しさを覚えてもらうために「子どもの食べやすさを重視して調理している」という回答も寄せられました。具材を小さく切ってあげたり、思い切って苦手なものは避けてあげたり。楽しい食事を重ねるうちに、好き嫌いが多い子や食に興味がない子でも、自然とぱくぱく食べられるようになるかもしれません。「本人がご飯を食べるのが好きだから早いんだと思う。好きな食べ物だけ出す。遅いときは食べられるものだけ食べさせてさっさと片付ける。」(30代・島根県・子ども2人)「年齢が小さい頃は、なるべく小さく切って、食べやすいように工夫していました。小学生になって給食で鍛えられたのか、自然と早く食べられるようになりました。」(40代・神奈川県・子ども1人) 食後の楽しみをつくる 食後に楽しみがひとつあると、だらだら食いにもメリハリがつくという意見もいただきました。楽しみの内容はお子さんによってそれぞれ異なりますが、デザートや遊びなど、食事の時間をわくわくしながら過ごせるような食後の楽しみをつくってあげましょう。「パパっ子なのでパパとお風呂入りたかったらはやく食べよー!という」(20代・高知県・子ども3人)「食べ終わったら好きなことができるようにする」(40代・愛知県・子ども1人) 食事の時間までにお腹を空かせる お腹があまり空いていないことも、お子さんの食がすすまない原因になり得ます。食事の時間までにはお腹が空くように、間食の時間・量を調整しておくと、空腹がなによりのスパイスになり食も進むというアドバイスもいただきました。「食事の時間前はお腹がすいたと騒いでも我慢させる」(40代・東京都・子ども2人) エリクソンの発達課題 1~3歳 達成しないとどうなる ただ、全てのことに周囲の人が手を出してしまうと、子どもの挑戦する機会を奪ってしまいます。 そして挑戦して失敗したことを非難や否定をされてしまうと、自律性は育つことはなく、逆に周囲が自分を信じてくれないという「恥・疑惑」が生まれてしまうのです。 幼児後期|3〜5歳 …幼児後期では幼稚園や保育園での同世代の子供との関わりが増え、外の世界に興味を持つ時期です。 課題【心理社会的危機:自発性・積極性vs罪悪感】 • 知りたいという興味の芽生え(「なぜ〇〇なの?」といったなぜなぜ期) • ままごとやごっこ遊びに夢中になる 達成するとどうなる 幼児後期では、遊びや関心があるものについての「自発性・積極性」が形成されます。 また、さまざまな事柄の「なぜ=目的」を知ることで目的意識という力を得られ、自分の興味があることへの追及ができるようになるでしょう。 達成しないとどうなる 子どもの自発性や自主性のある積極的な活動に対して親が嫌な態度を取ったり、厳しくしつけたりしすぎると、子どもは「罪悪感」を覚えます。過度なしつけは子どもの罪悪感が強くなり、自発的な活動を妨げることに繋がってしまうのです。 |
岡山県立岡山聾学校教育相談研修会資料(23年7月31日10:00~11:30) 心の不安や悩みに耳を傾ける 臨床心理士 福 田 求 (“ののはな”教育相談) 1 不安と悩み Work1 文中の( )の中から、より適切な語句を選び○で囲みましょう。 Aさんは、密かに社内恋愛を続けてきたBさんと婚約していましたが、社長に「跡取り娘Cと結婚してくれないか。」と言われました。BをとるかCをとるか(悩ん,不安)で、Aさんは夜も眠れない状態です。Bを選ぶと社長に冷遇されるかもしれないし、また、Cを選ぶと結婚生活が上手くいかないかもしれないし・・・という(悩み,不安)で、仕事も手に付きません。 参考 恐怖
2 耳を傾ける(傾聴)とは? そこでAさんは親や知人のD~Hにこの問題を相談したところ、次のような応答がありました。 D:愛情よりもお金だよ。結婚生活にはね。 E:どちらと結婚したらいいか悩むわねぇ。 F:Bを選ばないとあなたの人間性が疑われるよ。 G:あなたはBさんとの関係を大切にするか、社長と の関係を大切にするかで悩んでいるんですね。 H:早急にCさんと会ってみて、それから決めたほうがいいんじゃないの。 Work2 良い応答の記号を○で囲み、その理由をmemoし、隣人と話し合ってみましょう(参照 コラム上)。
3 傾聴の三条件 <C.ロジャーズ> (1)自己一致(純粋性) Clが心を開いて悩みや不安をCoに話してくれるようになるためには、「今、ここ」に居るClが何を考え、何を感じているかを、Coが純粋な心で(Coの先入観や感情、期待、他人との比較・評価、常識などは一切脇に置いて)、ひたすら(反論や説教をしないで)聴く(傾聴する)ことです。このCoのありのままの自分を受容してClと向き合う純粋な心を、ロジャーズは自己一致と表現しています。
(2)受容(無条件の肯定的関心) また話の内容がCoから見て明らに誤ったものであったとしても、「Clはこのように考えているのだ。」と肯定も否定もせず(評価や説得もせず)に受容する(受け止める≠容認)ことです。 (3)共感的理解 さらにCoが、あたかもClの立場だったら、Clと同じような言動 をとるだろうと思えたら(共感的理解)、Coはそのことを言葉で伝えます。そうすることで、ClはCoを信頼し、心を開いて悩みや不安を 話すことにより、自らの問題に気付きを深めながらパーソナリティを変化させていくのです。 この傾聴の三条件は、心理学的・医学的知識や資格などとは関係ないとされています。参照 写真) Work3 上手くいかない相手との具体的な会話や態度を、この三条件で検証してみましょう。 4 教師のカウンセリングマインド
では、学校で生徒が心の悩みや不安を相談したい思う教師は、カウンセリングマインドを備えているでしょうか。 注 カウンセリングマインドとは、児童生徒の悩みや不安 などの相談にあたる教師に求められる傾聴の三原則を備えた心構えを表す造語) Coと異なり、生徒より上の立場から知識や技術を教え、それを評価し、さまざまな規則を守らせる指導を行っている教師が、カウンセリングマインドを修得し、生徒の悩みや不安の相談に上手く対応できるのでしょうか? (1)条件付きの受容・傾聴
確かに、優れた教師であっても、常日頃から公平・平等な態度で生徒に接し、学習に対する意欲や態度、あるいは成果を適正に(他と比較したり平均点を基準に評価したりしないで)評価する(≠Co)ことが求められます。また、授業規律<参照上コラム>を確立して、教師の説明や他者の発言などを生徒がよく聞くことができるような雰囲気をつくり、生徒の学習意欲を高め学習権を保障することも必要です。このような教師としての役割や学校における時間的・物理的な制約が、生徒を無条件に受容し共感的理解を示すことを困難にさせています。 (2)教師の自己一致(純粋性) しかし、生徒が信頼するのは、Coではなく教師としてのアイデンティティ<自我同一性,H.エリクソン>を確立している教師ではないでしょうか(参照 左コラム)。即ち、一人一人の生徒が意欲をもって学習できるように工夫した教材研究を行い、授業の中に自分を主体的に投げ込んで(参照 投企。<サルトル>)、実践と反省を繰り返しながら自らの人生を創っていく教師を生徒は信頼し、悩みや不安を聴いてほしいと思うのではないでしょうか。 教師は、理想的な自己(例わかる授業をしたい)に現実的な自己(例受験教育をしなければならない)を近づけていく努力(例自主教材の作成)を続けていきながら、生徒に対して過剰な自己防衛や自己顕示をすることなく、ありのままの自分(自己一致した教師としての自分≠Co)を見せていくことです。このような教師には、たとえ傾聴の条件が十分備わっていないとしても、「真摯に生徒の悩みや不安を聴こうとする気持ち」さえあれば、生徒は心を開いて相談に来て、安心を得て帰っていくのです。 5 教育労働者としてのアイデンティティ 以上のような個々の教師の教育活動を支えるためには、生徒一人一人を尊重し、成長を支援していく職場づくりが必要です。また教師が豊かな心で教育活動を展開するためには、労働条件の改善や、少人数学級の実現などを要求する教職員組合活動に自主的に参加して、教育労働者としてのアイデンティティを確立していくことも、必要不可欠なことは言うまでもありません。 【主要参考文献】 ・ 氏原 寛 「学校カウンセリング」 2000年 培風館 ・ H.カーシェンバウム他編,伊藤博他監訳:「ロジャーズ選集(上)」2001年 誠信書房 |
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