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No.116 (抄) |
忘れ残しのあれこれ ⑩
元代表世話人難波 一夫
信州上田の「無言館」を訪ねたのは何十年も前でした。
「木曽路はすべて山のなか」は酷暑でした。館主の窪島誠一郎さんのお話をお聞きする機会に恵まれて、その時「あっ無言館が 呼んでいる」と強く思ったものでした。
少し暗めの照明から目を開けると、そこに裸婦のデッサンがありました。画用紙に描かれ、赤茶色に変色していました。
横には、あの女優の津島恵子さんによく似た和服の小さな「静子像」がありました。
二作品とも、愛する妻を描いたものだということがすぐ分かりました。
瑞々しさと優しさに溢れています。作者の愛の深さと想いが切なく伝わってくるのです。
なんと魅力的なのか・・・・。
佐久間 修さん。
中学校の美術の先生。敗戦の前年(1944、昭和19)の空襲で学徒動員の多くの生徒と共に犠牲になりました。享年29歳。
窪島さんによると、二人の結婚には、強い反対があったようです。静子さんは思い出の品であるコンサートのパンフレットやグレコやゴヤの画集を今も大切に保存されています。
この二つの絵を無言館にお預かりしたいとお願いされたとき、「掠奪者」のような感覚に襲われたと言います。
それはいつもベッドの横にあって、どんなに辛い時も、悲しい時も支えてくれ励ましてくれた「彼」そのものだったのですから。それを奪ってしまうなんて・・・・。
戦争さえなかったら、彼は素敵な絵を何枚も描いたでしょうに。若くして逝った画家のもう一つの生命がもっともっと輝いていたでしょうに。
逝った人と残された人の無念と痛恨を胸に深く刻んで、また手を合わせに行きます。
なんば かずお
相談ネットワークのこれまでとこれから これまで 20年7月から21年6月
相 談 状 況
別表(省略)のようになっています。コロナ禍で「非常事態宣言」による閉局を余儀なくされました。 子どもの相談件数は減少傾向です。相談内容では大人(親)の家庭ストレス・心身の健康が多くを占めていました。深刻な問題を抱えて、ネットワークを頼りにしてくださる方がいます。
相談員の状況
小中高の退職教職員によって組織されています。それぞれ多忙な中ボランティアで参加しています。今年度も新たに相談員が増えました。
会報の発行
目標を五回にしていましたが、四回の発行になりました。いろいろな方に原稿を寄せていただきました。発達障害など、様々な教育課題や、会員さんの要求に応えられるように工夫しました。
講 師 活 動
回数は少なかったのですが要請に応じることができました。
研 修 会
相談員の力量を高めるために、月に一度の研修会の場をもちました。今年度は「ひきこもり」の本人やその家族も含めて、「ひきこ
もり」に焦点を当てて研修しました。
ホームページ・ブログ
随時更新ができました。ホームページがよくなったという声を聞いています。見てくださる人も増えています。県外の方でホームページを見て相談がありました。
他団体との交流
おかやま教育文化センターの諸活動に構成団体として参加しました。賛助会員の団体とも連携した取り組みをしました。
会費と会員
長く支えてくださった会員さんが高齢になり、退会される方もいらっしゃいます。会員の皆様には、いつも支えていただいて感謝しています。
これから 20年7月から21年6月
相 談 状 況
コロナ禍で子どもたちも大人も多くのストレスをためています。悩みも複雑になり、不登校や成人の引きこもりも深刻です。しっかり受け止めて相談活動に取り組みます。学習支援や居場所づくりに貢献したいです。
相談員の状況
引き続き新しい若い相談員の確保に努めます。
長い相談員も、健康に気を付けて、相談活動をやりたいと思っています。
会報の発行
会報は、五回を目標に発行します。子育て・教育の悩みや希望をつづり、紙面の充実に努めます。
会員さんからの投稿や感想お待ちしています。
講 師 活 動
コロナで学習会などの集まる機会が減っていますが、要請があれば、少人数グループでも、出かけていきます。ご連絡ください。
研 修 会
全国で100万人を超える「ひきこもり」がいるといわれています。そこに焦点を当てながらしばらく月一回の研修を続けていきます。会員の皆様、関心のある方だれでも参加できます。日時の確認は電話でお願いします。
ホームページ・ブログ
メールでの相談にお応えします。ホームページ・ブログを適宜更新しています。ホームページには、ネットワーク通信のバックナンバーや、過去記事のダイジェスト版なども掲載しています。益々、見やすい㏋にしていきますので、ご意見・ご要望・投稿記事など、ぜひお寄せください。
他団体との交流
ネットワークの賛助会員 の団体やおかやま教育文化センターとの交流を深めながら連携していきます。そして、今まであるネットワークを更に強める努力をします。
会費と会員
会員を増やすことで、相談ネットワークの取り組みを広げます。会員になってくださる方を増やしていただけるとありがたいです。申し込みを電話でできます。
会費の納入をお願いします。
今年も、コロナ禍で総会・教育講演会を中止しました。残念です。会員の皆様には、文書での報告だけになりますが、ご了承ください。
相談担当
月 田中 秋山 大谷
火 衣笠 田中
水 山本 加戸 中山 花田
木 正保 秋山 福田
金 難波 岩佐 小椋
相談時間 月~金10:00~16:00
・この時間以外でも相談に応じることは可能です
・相談は、電話・面談どちらでもできます
なお、面談や時間外を希望される方は、事前にお知らせください
「家庭教育応援条例」は何をめざすのか
相談員 田中 博
家庭教育は,子どもをどのように育てるのか、どのような子どもに育てるのか という保護者(親)の生き方、思想の問題です。そこに公が介入するときは、家庭教育を国が求める方向、あるいは内容へと誘導していく危険があります。つまり、国が必要とする人間を家庭の中でつくれということになっていきます。こうした視点からみると岡山県議会で制定されようとしている「家庭教育応援条例」には問題があります。
問題その一
憲法13条(個人の尊重)、19条(思想及び良心の自由)、24条(個人の尊厳と両性の本質的平等)に違反しています。戦後の家族・家庭生活は憲法の条文が示す原則を基本的理念として営まれています。「子育て」も公権力(行政)が介入・指図することは許されません。しかし、2006年、安倍前政権による教育基本法の改訂(第10条:家庭教育)によって家庭への介入の危険性が高まりました。
問題その二
条例の応援内容は、こども・保護者の要求・必要に応えているとはいえません。 困難を抱えている家庭に応援は必要です。子どもには家族的なケアが必要です。でもそれは子どもの要求・必要に従って、その子どもの主体に従って、育てていけるように応援することではないでしょうか。それぞれの家庭の具体的な要求・必要を見定めることが重要ですが条例にはこれが欠けています。
問題その三
この条例は「保護者の責任」(第1条)を謳い、国・自治体の責任は示していません。国は、家庭は「私的領域」だとして、教育や子育てに対する公的責任を後退させ、教育費や福祉に関する公費負担を抑制してきました。お金のかかる子どもの貧困問題や待機児童問題が、なかなか解消に向かわないのはそのためだと思います。
現在までに9県6市で制定されている家庭教育支援条例、2017年に自民党が成立を目指した家庭教育支援法案の真の狙いは憲法24条の基本的理念を崩すことにあります。24条は戦前の家制度(家父長制)の法的解体、具体的には非惨な状態に置かれていた女性・子どもの解放のために設けられました。大日本帝国憲法への回帰をめざす保守勢力は憲法9条を安保法制で骨抜きにしました。同じ手法で24条の解体と戦前の家制度の復権を夢想していると思われます。 たなか ひろし
※「家庭教育応援条例」(案)は、県のホームページで見ることができます。弁護士の方も大変注目している条例案です。パブリックコメントが多数寄せられたと聞いています。
「プリン食べる?」「大丈夫」 花田 千春
先日、孫に「プリン作ったけど、食べる?」と聞くと、にこっとして「大丈夫」という。「これをたべても大丈夫なのか」という意味ではなく、やんわりと「いらない」と断られたのだ。 子どもたちや若者が、何か断るときに「けっこうです」とか「今は要りません」と言わないで、「大丈夫です」という。この言葉に何か違和感があるのは、私だけだろうか?
「人に手を差し伸べてもらったり、助けてもらったりしなくても私は大丈夫です。一人でやっていけます」という意味の「大丈夫」なのか。「要りません」というと、きつい断り方になるので相手を傷つけないよう、やわらかい断り方として定着してきたのだろうか。
コロナが広がり、人と人が集まりつながりあうことが難しくなってきた。そのことでさらに孤立し困窮している人も増えている。こんな時こそ、人と人が助け合い支えあうことが求められていると思うのだが、素直に「たすけて」と声を出し、援助を求めにくくなっているのだろうか。人と人が助け合い支え合うことに何か遠回しの言い方をしないと受け入れられにくいような社会になっているのかもしれない。「自己責任」と「自助・共助」が叫ばれ、「公助」が届かない今の社会のありようの裏返しが、「大丈夫」なのだろうか。
一方で、つながるための手段は、めざましく進化してきた。子どもたちのスマホ使用もどんどん低年齢化しているという。スマホの「ライン」という便利な伝達のツールは、遠く離れた人に瞬時に言葉を伝えることができる。若者たちは、電話で会話するよりラインで伝達する方が増えていると聞くが、短い言葉で相手に思いを伝えるのは、けっして容易なことではない。誤解や言葉足らずで伝わりにくいこともよくあるだろう。感情がぶつからないように、直接ではなく間接的に、やんわりと思いが伝わるように生み出された言葉が「大丈夫」なのだろうか。
首相が「丁寧な説明」というと、聞かれたことには答えないで、的はずれの同じ言葉をくりかえすことだし、「国民の気持ちに寄り添って」というと、まったく正反対の行動をとることなのだと、日々の報道で思い知らされている。政治の世界の言葉のあまりの空虚さと無責任にうんざりし、あきれ憤りさえ覚える昨今である。
それに比べると、この「大丈夫」という言葉には、相手を思う謙虚さと配慮があるようにも思える。現代の子どもや若者の生きづらさも含めて、このことばも受け入れようか、と思い始めたところである。自分を責めて声を出せない子どもや若者たちに、「助けて」といって大丈夫なんだよと、大人たちのメッセージが届くことを願いながら。 はなだ ちはる
算数の力で生命・へいわ・くらしを考える
なんで勉強するん?に応えて -その4-
今、ここに命が在るという事の奇跡② 志賀 兼允
「地球は1秒間で463mというすさまじい速さで動いているのに、なんで止まっているように思うのだろうか」という事で、地球の5000万分の1の地球儀を机の上に置き、ひとりの生徒に登場してもらった。そして、生徒に次のように指示してみた。「地球は一日24時間で回っているね。それでは、この地球儀を、実際と同じ24時間かけて回してみて下さい」と。すると生徒は地球儀を持って回そうとしたけど、地球儀をどんなにゆっくり回そうとしても、1分もかからない内に一回りしてしまう。実際の所、地球儀を1時間かけて回すこともイヤになってしまうほど、ほとんど動かない、知覚に感ずることのできないほどの動きになってしまう。まるで罰ゲームのようである。「台風の風速が60mでも、電柱が倒れたり、木造家屋が倒れたりするのだから、もしも、地球が急停車したら、風速60mのほぼ7倍、圧力は7×7だから、我々らの住む地球上の建物はもとより人間まですべて吹き飛ばされることになるね。地球は余りに大きいので、丸いのに水平線上にあるように見えたり、動いているのに、まるで止まって、あたかも太陽が廻っているかのように見えたりで・・・とてつもなく大きな世界を感ずること事は難しいけど、計算の力で、君らは、本当の地球の姿の一端を知ることができたね」。時間があれば、太陽の周りを廻る速さを調べたり(①太陽と地球の距離は1,5000,0000kmなので、電卓で150000000を打ち②次に直径と円周率をかけて円周の長さを出して電卓で×2と×3.14を計算し③地球が一年間で動く距離を出し、365日に割って、更に24で時速が、÷60で分速が、最後に÷60で秒速が出ます。その答えは29.870・・・」つまり、地球は太陽の周りを実に一秒間で、ほとんど30kmの速さで動いていることが分かります。私の家から、この天体観測場まで高速道路を使って60kmの距離を1時間ちょっとでやってきますが、太陽の周りを回る地球のスピードに乗っかると、あっというまの2秒間で着くことになりますといって、大きく目の前でジャンプして見せて、「今ジャンプして降りた瞬間、私は、自分の家からここについたことになる。地球って、すごいスピードで太陽の周りを回っていることになるね」もはや、子どもらは、未知の世界に導かれたような顔をしながら、話に聞き言ってくれている。よく見ると、引率の先生方までが、メモを取り出してくれている。そんなこんなで、計算の力を使って様々な私たちの住む地球、太陽系、更には宇宙の話を展開する中で、子どもらは、楽しそうに数の世界にのめりこんでくれます。
ちなみに、太陽系は銀河系を時速420万㎞(20回~25回周回)秒速1167㎞、宇宙空間の「うみへび座」に向かって秒速600㎞で遠ざかっています。つまりたった2秒間で日本列島を突き抜けてしまう。更に、光速は(一秒間で)30万㎞といいますが、地球上で一番早いスペースシャトルは、なんと90分間で地球を一回りしますが、そのスペースシャトルに乗って、地球に最も近いケンタウルスαまで行くのに何年かかるかと言うと、光はほとんど秒速30万㎞です(一秒で地球7周り半)ので、計算してやると、なんとスペースシャトルの4万倍の速さという事になります(みなさんで、計算してみてね)という事で、最も近い星までは、4.3×4万ですので、17.2万年もかかります。この宇宙のどこかには、確かに生命を育んでいる惑星はいるかもしれませんが、宇宙人が攻めてくるなんぞという話は、およそ非科学的な空言である事に気づきますね。
他にも、計算の力を使って、様々な創造力を図る事ができますが、一方で数の力で人々を陥れるために謀(はか)られることもできますので、ご用心!それはともかく、私は、展開観測日に星が見られなく室内でお話しする締めくくりに、「なんで、勉強するの?と問いかけながら、たとえば算数の計算の力で、自分たちの『今、ここに在る事の不思議と』『見えない世界や、見えているけど感ずることのできない世界』などを調べて知ることができますね。だから、単に計算が早くできる事を仲間と競ったり、人より早く進んだ勉強をするためにあるのではなく、みんなで、計算の力を使って、創造的な、つまりイメージを広げていくためにあるのです。だから、学校でも「算数嫌だ!」などと言わずに、ボチボチわかろうとして先生のお話を聞こうね!これは算数だけでなく、国語や、社会、理科などすべての授業が、君たちの創造力を広げるために先生たちは君たちの前に立って教えられているんだよ」と、引率の先生を励ますつもりで締めくくる事にしています(笑) しが かねみつ
昨年の10月にお亡くなりになった志賀兼允先生が、事前にネットワークに送ってくれていた原稿を、掲載させていただきましたが、この号で最後になりました。この原稿の最後には「つづく」と書かれていました。
この後、どんなメッセージが届いたのでしょうか。子どもたちへの温か いまなざしが随所に表れ、わたしたちもどんなに勇気をいただいたことか。
本当に残念です。
長い間、ありがとうございました。 秋山
「子どもはこんな親が好きなんだよ」
“ののはな”教育相談:福田 求
http://nonohana.sunnyday.jp
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